献花のマナー 花の種類・渡し方・正しい手順
献花(けんか)は、故人への弔意を表すために祭壇に花を供える儀式です。
主にキリスト教式の葬儀や、宗教を問わない「お別れの会」「偲ぶ会」などで、仏式の焼香に代わって行われます。
今回の記事では、いざという時に慌てないよう、献花のマナーについてご案内いたします。
1. 献花で使われる花の種類
献花の花は、葬儀社や主催者側が用意していることがほとんどのため、参列者が持参する必要はありません。
一般的には、白を基調とした生花が用いられます。
- 定番の花:
- 白いカーネーション: 茎が長く丈夫で持ちやすいこと、そして「亡き母をしのぶ」という花言葉の由来から、よく選ばれます。
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- 白い菊やユリ: 供花の定番であり、厳粛な雰囲気にふさわしい花として用いられます。
- 故人が好きだった花: 近年では、故人の人柄を偲び、生前好きだった花(トルコキキョウ、スイートピーなど)が選ばれることも増えています。
- 避けた方がよい花: バラなどトゲのある花は、怪我につながる可能性があるため、そのままでは使いません。もし使用する場合は、事前にトゲをすべて取り除く処理がされています。
2. 献花の渡し方と手順
献花は、喪主、遺族、親族、一般参列者の順で行います。
自分の順番が来たら、以下の流れで丁寧に行いましょう。「渡し方」は、儀式の中でスタッフから花を受け取る場面から始まります。
献花の基本的な流れ
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- 順番が来たら祭壇近くへ進み、スタッフの方を向いて一礼します。
- スタッフから花を渡されたら、両手で丁寧に受け取ります。
- この時、一般的には花が右側、茎の根元が左側になるように渡されます。右手で花の下あたりを支え、左手で茎の根元を持つと安定します。スタッフから花を受け取る
- 遺族・祭壇へ一礼する
- 花を胸の高さに保ち、遺族の方を向いて一礼します。
- 次に、祭壇の方へ向き直り、遺影(御霊前)に向かって深く一礼します。
- 花を献花台に供える
- 献花台の一歩手前まで進みます。
- 持っている花の茎の根元が祭壇側(遺影側)に向くように、時計回りに90度回転させます。
- 両手を使い、静かに献花台の上に置きます。この時、先に供えられている花と重ならないように配慮しましょう。
【ポイント:花の向き】
- 受け取る時: 花が右、茎が左
- 供える時: 茎の根元を祭壇(遺影)側に向ける
- 黙祷(もくとう)・礼拝
- 花を供えたら、遺影に向かって深く一礼し、黙祷を捧げます。
- キリスト教式の場合は、胸の前で手を静かに組んで祈ります。カトリックの信者の方は十字を切ることもありますが、信者でない場合は、手を合わせずに黙祷または深いお辞儀をするのが一般的です。
- 退場する
- 黙祷が終わったら、遺影に向かって再度一礼します。
- 遺族の方へ向き直って一礼してから、数歩下がり、自席に戻ります。
献花を行う際の注意点
- 手荷物は持たない: 献花を行う際は、バッグやコートなどの手荷物は自席に置くか、近くのスタッフに預け、両手が空いた状態で行います。
- 落ち着いて行動する: 順番が来ても慌てる必要はありません。前の人の作法を参考にしながら、一つひとつの動作を丁寧に行いましょう。
- 心を込めることが最も大切: 作法に自信がない場合でも、故人を悼み、敬意を払う気持ちが何よりも大切です。心を込めて丁寧に行うことが、故人や遺族への何よりの弔いとなります。